ケアマネージャーとサービス提供事業所、その間に横たわる「確執」を問う
2025/10/14
この度、リハビリここらdayは、利用者様により質の高いサービスを提供し続けるため、そして事業所としてさらなる高みを目指すべく、いくつかの大切な変革を進めております。その中で、利用者様にはご理解とご協力をお願いする場面もございました。また、日頃から連携させていただいているケアマネージャーの皆様との関わりを通じ、改めて感じたこと、そして私たちの想いを、この場をお借りして皆様と共有させていただきたく存じます。決してネガティブな発信ではなく、より良い介護の未来を共に創っていくための一助となれば幸いです。
まずケアマネージャーの仕事は多岐にわたり、その大変さは計り知れません。 要介護認定の申請支援から、利用者様やその家族の心身の状態、生活環境を細やかにアセスメントし、最適な介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。サービス開始後も、モニタリングを通して計画の実行状況を確認し、必要に応じてプランを見直す。医療、行政、様々なサービス提供事業所との連絡調整は日常茶飯事であり、その全てが「利用者様とそのご家族の生活」を左右するという重圧を常に背負っています。
しかし、ケアマネジメントの質は、属人的な要素に大きく左右されるのが現実です。 利用者様の相談にどこまで深く踏み込み、どれだけ緻密にサービスを調整できるか。それは、ケアマネージャー個人の技量、そして抱える業務量、ひいては心身の余裕に直結します。多忙を極めれば、どうしても書類仕事や連絡調整に追われ、個々の利用者様への「氣遣い」や「寄り添い」がおざなりになるリスクは高まります。それでも、プロとして、利用者様やご家族の前では「業務」として心を切り替え、不安を和らげる姿勢を求められます。
特に、通所型サービスなど、ご家族が現場を直接見ることのできないサービスを利用する場合、その不安や心配は募るものです。現場の様子を知らないケアマネージャーに、その不安を和らげる役割が本当に果たせるのでしょうか。
現場を見たことのないケアマネージャーに何が言えるのか
利用者様の不安を察知し、それをサービス提供事業所との間で調整し、安心感に変えること。これもケアマネージャーの大切な仕事です。しかし、中には、利用者様やご家族の不安・不信感を耳にした際、「それは心配ですね。事業所に確認します。」と、安易に事業所への「疑いの目」を利用者様やご家族と一緒に向けてしまうケアマネージャーもいるのではないでしょうか。
サービス提供事業所は、日々、利用者様と真剣に向き合い、専門職としての信念を持って取り組んでいます。少なくとも我々は。その努力と誠意が、ケアマネージャーの安易な同調や言葉の選び方一つで、利用者様からの「不信感」という形で返ってくるのは、大きなショックであり、理不尽に感じられます。
構造的な「力関係」が招く不公平
さらに、この問題の根底には、介護サービスにおける構造的な力関係が存在します。
ケアマネージャーは、ケアプランという「設計図」を作成し、どのサービスを、どの事業所から、どれだけ利用するかを提案し、事実上決定を左右する立場にあります。利用者さまやご家族は最終的な選択権を持ちますが、介護保険制度や地域のリソースに詳しいケアマネージャーの推奨は、極めて大きな影響力を持つのです。
一方、サービス提供事業所にとって、利用者様の紹介はそのまま事業の生命線です。ケアマネージャーからの紹介があって初めて、サービス提供がスタートします。つまり、事業所の経営は、多かれ少なかれ「ケアマネージャー頼み」の構造になっています。
この「利用者様を紹介する側(ケアマネ)」と「利用者様を紹介してもらう側(事業所)」という関係性から、必然的にケアマネージャーの立場が強くなるという構造的な問題が生じます。事業所側は、たとえケアマネージャーの調整や指示に疑問を感じても、関係悪化による「顧客(利用者)紹介の停止」を恐れ、本音を言いにくい、あるいは過度な要求にも応じざるを得ない状況に陥りがちです。
満床が示す「プロの仕事」と事業所の矜持
利用枠の調整は、事業継続のために不可欠な現実です。お陰様で、当事業所(リハビリここらday)は利用者枠が埋まりつつあります。新規の利用者様に希望通りの曜日をご案内できないことや、心苦しくもお断りせざるを得ない状況も発生しています。
これは決して、私たちが「調子に乗っている」わけではありません。
限られたリソースの中で、最大限のサービスを提供し続けるためには、事業所側の健全な運営が絶対条件です。
⚫︎ 新規利用者様への希望通りのご案内ができないこと。
⚫︎ 体調不良以外の自己都合による度重なるお休みの方には、本当に必要としている方へ利用枠をお譲りいただくようお願いすること。
⚫︎ 長期入院される方は、一時的に利用枠から外れていただくこと。
これらは、事業継続と、真にサービスを必要とする方への機会提供のために、致し方ない判断です。私たちは、限られた利用枠と利用者様には、気持ちよく、最大限の効果を感じて利用してもらいたいと願っています。
そして、良いサービスを提供し続けるためには、職員が心身ともに健康で、仕事を楽しめることが大前提です。職員の心を踏みにじるようなカスタマーハラスメントといった類のご利用者様には、健全な運営を保つためにも、利用をご遠慮いただく必要があると考えます。
効果と痛みの峻別、そして「静養の場ではない」というプロの線引き
サービスの質に直結する重要な線引きが、リハビリテーションにおける「痛み」に関する理解です。
痛みには、打撲や炎症、感染症など、アプローチを控えるべきものと、我々が目指す「根本改善」のために不可避な痛みがあります。特に、筋膜(ファシャ)の問題や神経の絞扼を解放するためのアプローチは、その性質上、痛みを伴うことが少なくありません。それは、状態を改善するために「あえて通らなければならない道」です。
そして、トレーニングは必ず勧めています。高齢者という特性上、負荷がかかりすぎて不調を来さないように、また、無理強いをして利用を拒否されないように、心理状態や運動器の面を細やかに配慮したアプローチを心がけています。
当事業所の3時間という利用時間は、物理療法等も挟みながら、15分以上じっとした時間を作ることなく、次々と動かざるを得ないプログラム設計です。これは、飽きさせずにリハビリの効果を最大限に引き出すための工夫です。
時には不眠や血圧等の問題で静養時間を設けざるを得ない利用者様もいらっしゃいます。しかし、当事業所は静養するための場所ではありません。看護師が常駐し、安全に最大限配慮した上で、定期的に様子を伺い、状態が落ち着けば立ち上がっていただきます。これは、「身体を動かすこと」を通じて利用者様の自立を支援するという、事業所の明確な使命とサービスの提供方針に基づいています。
しかし、「痛くしないでください」の一言で、その効果的なアプローチを拒絶する利用者様もいらっしゃいます。利用者様の気持ちは理解できますが、我々は慰安を提供する場ではありません。「地域でNo.1(自称)」を謳うプロ集団として、最善の結果を追求するためには、その痛みを乗り越えていただく「覚悟」もまた必要です。
「それなら、申し訳ありませんが、他を当たってください」
この言葉を飲み込み、本当に私たちを求めてくださる方にだけ、限られたリソースと情熱を注ぎたい。それが、当事業所の切実な夢であり、プロとしてのプライドです。
サービス提供者としての矜持と、真に利用者を想うケアマネへの敬意
この厳しい利用枠の状況、そして「風呂も食事もない」というサービス内容。他のサービスと組み合わせる必要があり、ケアマネの立場からすれば、正直に言って「面倒」なプランニングを必要とします。
それにもかかわらず、リハビリ専門の通所事業所として「地域でNo.1(自称)」を謳う当事業所の利用を、諦めることなく積極的に紹介し、利用枠を問い合わせてくださるケアマネージャーさんがおられます。
私たちは、そこに「本当に利用者様のことを考えている」プロフェッショナルな姿勢を感じずにはいられません。効率や手軽さよりも、利用者様のQOL向上という本質的なニーズに応えるために、あえて手間を厭わない。その熱意と、当事業所の提供するリハビリテーションの価値を理解してくださることに、心からの敬意を表します。
この構造的な力関係に対抗し、真に公正な立場でサービスを提供する唯一の手段は、「利用者に選ばれる力」を持つことです。利用者自身が「あの事業所を利用したい」と指名してくれるほどの地域の評判と実績を積み上げるしかありません。
我々サービス提供者は、利用者や家族がもしサービスに疑問を持ったとしても、その後の我々の真摯な対応によって、「あの時、不安に思ったのは間違いだった」と後々後悔させるほどの確固たる信念を持って、日々のサービスに取り組んでいます。
ケアマネージャーには、その専門性と公正中立な立場を理解し、利用者様と事業所、双方の立場に配慮した「プロの対応」が強く求められます。安易な同調ではなく、事実確認と専門的な視点からの説明、そして事業所の努力への理解を示すこと。それが、真の意味で利用者の安心につながり、介護サービス全体の信頼性を守ることになるのです。この信頼の構造を、ケアマネージャー、サービス提供者、そして利用者・家族様が共に築き上げることが、介護を巡るすべての人々の願いであるはずです。
そして、どうか、自分の価値観ではなく利用者様にあったサービスを紹介し、そして紹介した責任を、自信と誇りを持って果たしていただきたいと願います。
「あそこの事業所を紹介してくれて、本当に良かった」
利用者様やご家族からこの一言を聞いていただけることを、私たちは自信を持って約束します。
【お詫び】 本記事は、サービス提供事業者という一当事者の視点と体験、そしてそこに根ざした思想を、あえて「攻めた」形で述べさせていただきました。ケアマネージャーの皆様の日々の献身的なご尽力、そして複雑な多職種連携の中で中立性を保つことの難しさを、もちろん承知しております。本来、介護現場の課題は多角的かつ構造的に捉えるべきものであり、ここに述べた視点が全てではないことを、深くお詫び申し上げます。これは、一個人としての「熱い思い」と「現場の葛藤」の表明としてお受け取りいただければ幸いです。
それではまた氣の向く頃に。
----------------------------------------------------------------------
合同会社ラヴェスト リハビリここらday
〒773-0015
徳島県小松島市中田町字新開44-1
電話番号 : 0885-35-0180
----------------------------------------------------------------------


